水商売人は濃いキャラが揃っていますが、お客さんも濃いキャラがたくさんいます。
普通の会社員なのに、毎日繁華街に来る人(サラ金漬けか、会社の金を少しつまんでいる)。
本当は親の年金や貯金で暮らしているただのニートなのに、実家で商売を手広くやっていて、優秀な二代目風に嘘アピールする人。
またはウソを巧に積み上げて、他人にお金を出させて自分のお店をオープンさせる人。
ウソを積み上げているので、オープン後にお店の経営が上手く行かなくなるのは当然の流れ。
そうなると、その人は逃げて消えるパターンで、お金を出した人がげっそりになる。
欲望渦巻く街ですからね、色んな人がいます。
中でも一番長い付き合いのホラ吹きさんは、私が水商売を始めた時からの知り合いでO山さんと言います。
まとまったお金をポンッと使ってくれるお客さんで、超お金持ちの生まれなのかな?と思っていたら、この人は実家が美容室をしていて、自分はその店を管理してるそうです。
そこで、美容師免許もってるの?と聞くと、持ってなくてお金の管理だけをしていると言います。
ただ一個人の美容室がお金の管理が必要なほど儲かるのか?という疑問もありますが、会話の流れで店舗の場所を聞いても、正確には教えてくれないのです。
でもわざわざ領収書はもらう小細工をやります。
超怪しいですよね。
このO山さんの美容室経営については、10年くらい付き合っても、最後まで真相は分かりませんでした。
それと今でもたまに顔を出す居酒屋の店長で、S原さんという人がいます。
このS原さんは、例のO山さんの紹介で知り合いました。
私がお店をオープンして少しした26歳くらいの時でしたが、
『おれ居酒屋はじめたからお店に行こうぜ!』
『まじっすか?いつの間に?』
などと誘われて、そのO山さんに付いて行ったら、そのお店のカウンターの中に立っていたのが、S原さんです。
S原さんはオーナーであるO山さんに対して、ずけずけとモノを言うタイプの人なので『オーナに対してけっこう言う人だな~』という印象でした。
そのお店は1年後くらいに、家主との家賃交渉が折り合わず閉店したらしいのですが、『S原さんがあんな感じなので仕方ないかな』という感じです。
さて、ここからが本題です。
私が水商売を卒業してから、例の居酒屋でS原さんと再会して、『そう言えばO山さんは元気してます?』と私が聞くと、『いえ、田中さんの方がよく知ってるんじゃないですか?』と、S原さんに言われたのです。
んん?
どういうことだ?
勘のよい方はもうお分かりですね。
O山さんは、田中にはS原さんを自分の従業員と紹介し、S原さんには田中を自分の従業員と紹介していたのです。
つまり私が当時経営していたお店は、O山さんがオーナーで、私は雇われ店長というカタチですね。
そしてS原さんのお店も、O山さんがオーナーで、S原さんは雇われ店長というカタチ。
完全に詐欺師の手口ですね。
私たち2人はすっかり騙されていました。
そりゃ本当は従業員じゃないから、S原さんがO山さんにずけずけとモノを言うのも、おかしなことじゃないですよね。
とくに大きな被害はないですが、たぶん行く先々の色んなお店で、
『田中はうちの従業員だから』
『S原にお店を任せているから』
と言われてたんだろうな、とS原さん振り返って大笑い。
上手くやれらましたね。
このように繁華街にはウソにウソを塗り固めた人が、たくさんいます。
蓋を開けてみたら、中身は何もなかったという人ですね。
飲み屋で知り合った人は、とりあえず、すぐには信用しないようにしましょう